
――若い柔術家からすると、なんていう意見だと思われるかもしれないですが、それが20歳を過ぎてブラジリアン柔術にはまったお二人の真意といえますね。そんななか、マスターやシニアの大会というものをどのように捉えていますか。ウェイト、レベル、年齢に応じたトーナメントが存在するのが柔術の特徴でもあります。
石川 そこが柔術の素晴らしさだと思います。プロといっていいレベルの選手と、入門して3日目の人が一緒に練習してお互いのためになる。それが柔術だと思うんです。自分が好きな商品しか売れないという商売人の方もいると思うのですが、自分にとって柔術とは100パーセント自信を持って勧めることができる格闘技なんです。指導しながら、毎日思っています。自分の生徒と一緒にお金を払ってエントリーして、並んで試合を待っているスポーツってないですよね? その分、プレッシャーもあるんですよね(笑)。『先生、パスしてください』とか言われると――。
渡辺 『いつもクラスでやっているじゃないですか』とかね(笑)。
石川 そのプレッシャーを乗り越えて勝ったときは、『どうだ、お前ら。先生勝っただろ』って胸を張りたくなりますし。生徒もそういう姿が見られると嬉しいと思いますし。
――今後、柔術家として目標においていることは何ですか。
石川 僕は道場を始めて1年半近くになるのですが、一つ悟ったのは、金持ちにはなれないってこと(笑)。とにかく、楽しく練習できる環境をつくり、自分と生徒さんが強くなれたらいいと思います。あんまりしがみつく気持ちがないので、初めて時の気持ちを忘れないように商売、商売しないようにしたいですね。商売だけだったら、他に儲かることはいくらでもあるんで。僕は3年先までしか見ていないので、10年先は僕の道場はないかもしれないですね。でも、しがみつくつもりはないので。3年後に生徒さんが増えて、僕自身が強くなっている状況を作るために毎日、歩んでいこうと思っています。
――現役柔術家としては?
石川 できれば8月のノーギ・ムンヂアルに出たいですね。
――渡辺選手の今後の目標は?
渡辺 大きな目標は考えないタイプなんで――。まずはしっかり練習して、勝てない人たちに勝てるようになり、ブラジルにまた行きたいですね。僕はタイトルとかメダルとかよりも、個人個人に興味があるので、世界チャンピオンクラスの人とやって、少しでも粘ったり、相手を驚かせたいですね。今はまだ弱すぎて、そういう風に動く気持ちにはなれないんですけど、練習環境が整ったら、ルーカス・レプリやセルソ・ヴィニシウスとやってボコボコにされ、「うわぁ」っていう感覚を味わいたいです。あと、そういう場で戦うことができる生徒を育てたいと思うようになってきました。誰でも楽しめる敷居の低い道場でありたいのですが、意外にも競技志向の人も多くて、そういう人たちを高みに連れて行きたいです。「世界チャンピオンになりたい」って言ってくれる奴がいるんで、そういう教え子の期待に応えたいです。
