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樋口郁夫のレスリングNOW 第一回日本レスリング協会の動き出す“サブミッション路線”

 しばらく停滞していた日本レスリング協会の"サブミッション路線"が再び動き出しそうだ。国際レスリング連盟(FILA)が今年12月、レスリング・スタイルとして認定したグラップリング(アブダビ・コンバット大会とほぼ同じルール)の第1回世界選手権をスイスで開催することになり、"サブミッション・レスリング"の言いだしっぺの日本も記念すべき大会に選手を派遣する方向で予算などの調整に入るもよう。


▲日本レスリング協会でサブミッション路線を引っ張る(左から)福田会長、高田専務理事、木口総合格闘技委員長

 具体的に動き出すのは8月の北京オリンピックの後になりそうだが、ADCCジャパンなど既存のサブミッション・レスリングの団体・機構との協力のもと、最強選手を派遣してほしいと思う。
 FILAは21世紀に入ってから、従来のレスリング(フリースタイル、グレコローマン)のみならず、世界のあらゆる"レスリング"を統括し発展させようという方針を打ち出した。提唱者は日本レスリング協会の福田富昭会長。すでにグラップリング、ビーチレスリング、サンボなどを認定している。
 昨年9月の世界レスリング・ゲームズ(トルコ)でそれらの"世界大会"を実施。今年の同大会でも同様な試合を行うほか、グラップリングは単独で世界選手権を開催。FILAの中でいち早く市民権を得た形だ。
 日本はFILAにパンクラチオンを推薦し、その認定を目指していたが、ギリシャ発祥のパンクレーションとの調整がうまくいかないこともあって動きが止まってしまっていた。しかし、大きなくくりで考えればともにサブミッション・レスリング。「パンクラチオンがダメなら、グラップリングをサポートすればいい」(日本レスリング協会・高田裕司専務理事)とのことで、FILAの動きに合わせていくという。
 もっとも、既存のサブミッション・レスリングの団体・機構からすれば、「いきなり日本レスリング協会が出てきて、権威をかさにサブミッション界を牛耳られてはかなわん」という思いがあると思う。確かに日本レスリング協会でサブミッションを熟知しているのは木口宣昭総合格闘技委員長(木口道場代表)くらいであり、全体の関心度となると福田会長と高田専務理事が熱を入れるほどではない。現在の日本レスリング協会がサブミッション界を管轄するのは無理がある。
 「餅は餅屋」という言葉があるように、ここは日本レスリング協会が一歩引くべきだろう。陽の当たらないサブミッション・レスリングをサポートしてきた人たちの立場と気持を尊重しつつ、日本レスリング協会がサポートして発展を目指すという形をとってほしい。
 ADCCジャパンの浜島邦明代表は「必要なら大会運営に協力したい。対立することはしない」と協力の姿勢を示している。格闘技界(どの世界にも?)にありがちなドロドロした対立ではなく、友好関係のもとでの健全な発展を願いたい。

■ひぐち いくお
1959年5月、新潟県生まれ。青山学院大時代にレスリングを経験。84年に共同通信社に入社し、運動記者としてプロ野球、大相撲などの取材を経験。90年に独立し、日本レスリング協会機関誌編集に携わる。98年から内外タイム記者としてプロレス、プロ格闘技を取材し、04年10月から再びフリーへ。現在に至る。