

同大会プロデューサーの宇野薫が振り返る。「言葉には出さなくても、皆がそういう気持ちでいたし、僕も何となく感じました。気持ちがこもった試合が多かったです」
果たして慧舟會勢は、ほぼ全勝という快進撃を見せた。外山慎平が腕がらみ、遠藤大翼が裸絞めを極めて慧舟會仕込みの寝技を披露すれば、藤井陸平は修斗世界ランカーに、宮澤元樹は前修斗ライトヘビー級世界王者に競り勝ち、慧舟會の底力を見せつけた。

注目された第7試合。MMAルールでは、おそらく慧舟會史上初の同門対決の実現だ。ケージフォース初代バンタム級王者決定トーナメント一回戦として戸井田カツヤVS徹肌イ郎が行なわれ、後輩の徹が豪快なパンチで戸井田の意識を飛ばし、衝撃的な秒殺勝利を挙げた。グラップラータイプである徹の打撃決着など誰が予想できたか。徹が振り返る。
「自分は戸井田さんに育ててもらったようなものなので、勝つことが恩返しになったと思います。ただ、この会場に守山さんもいてくれたら、もっと良かったですけど…」
先輩と師への思いを込めた徹の拳が、奇跡のような勝利をもたらした。
そして、メインの同フェザー級王者決定トーナメント一回戦。和術慧舟會GODSの星野勇二は、道場での強さが慧舟會内部では評価も高く、8年ものキャリアを誇る実力者。そんな星野に難敵が対峙した。佐藤ルミナや日沖発をも破っているアントニオ・カルバーリョだ。このトーナメントの過酷さを象徴する対戦は、目まぐるしく攻守が入れ替わるシーソーゲームに。
試合中盤、”立ち技何でもあり”のシュートボクシングで王者・宍戸大樹と渡り合ったカルバーリョの打撃が、星野の顔面を幾度となく襲う。だが星野は倒れない、諦めない。終了のゴングまで攻め続け、とうとう激戦を制した。試合後に、コメントする星野は勝利を喜ぶ一方、何度も涙を拭った。
「守山さんの教えに恥じない試合をしようと思っていました。ラウンド中も守山さんに声を掛けられている気がして、その声に応えられたと思うので嬉しさでいっぱいです。パンチも何発もらったか分かりませんけど、今日は気持ちで絶対負けない自信がありました」
星野の勝利が決まると、慧舟會勢の歓喜の声が会場を包んだ。それはまさに守山氏の思いが全選手に伝わった瞬間だった。ならば、氏のもう一つの思いに応える時だ。慧舟會に、もう涙は似合わない。涙を拭って団結し、前進あるのみ! 悲しみをブッ飛ばせ!
