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【ゴング格闘技】
「先駆者の孤独」。土居進トレーナーが見た「カリスマ・魔裟斗」の実像=『ゴング格闘技』
 (2009/12/29)


『永久保存版・魔裟斗 1997-2009』はイーストプレスより、絶賛発売中! 知られざる“魔裟斗”以前の秘話から、その引退まで。魔裟斗物語の決定版となる。

大晦日引退試合に向け「史上最強ボディ」を作り上げた魔裟斗。土居トレーナーは「見たら驚きますよ」と自信を見せる。ここに至るまでには実に3年以上の歳月を費やした。魔裟斗はなぜカリスマになれたのか? 他の選手はなぜ魔裟斗になれないのか? 二人三脚で歩んできた土居トレーナーが胸中を明かす。


■「体力で上回って勝つ」なんて考えてたら世界チャンピオンにはなれない。
  二子玉川の閑静な住宅街の一角にひっそりと佇む会員制のスポーツジム「T.I.S」。土居進トレーナーは毎週土曜日にこのジムで「合同筋トレ」を主宰している。参加するのは若手選手たち。この日は長島☆自演乙☆雄一郎や藤鬥嘩裟らが土居トレーナーの課すキツいメニューに取り組んでいた。

 土居トレーナーはこの他に毎週金曜日、走り込み中心の「スタミナトレーニング」も主宰している。マンツーマンのパーソナルトレーニングは金銭的な負担が大きく、若手選手は手が出ない。そのため、最小限の費用で正しいトレーニング方法を教えるべく合同練習を考えたのだと土居トレーナーは言う。

「理想はマンツーマンでやることですけど、合同で週1回やるだけでもしっかりやる子はメチャメチャ体が変わりますよ」

 色々な選手が集れば、同階級の、対戦する可能性のある選手が顔を合わすこともある。「あの選手が来るんですか?」と嫌な顔をする選手もいるが、土居トレーナーは全く意に介さない。

「『体力で上回って勝つ』なんて考えてたら世界チャンピオンにはなれないですよ。体力はあって当たり前で、勝負は技術とか精神力。だから文句を言う子には『自分一人勝ってもしょうがないでしょ? 全体のレベルが上がっていかないと格闘技界自体がなくなるよ』と言ってます」

土居進トレーナーの指導を受ける長島☆自演乙☆雄一郎や藤鬥嘩裟ら。大晦日については、「魔裟斗さんは“アスリート”の体です。見るとびっくりしますよ」。【(C)ゴング格闘技/村上一光】

 土居トレーナーは様々なジャンルのスポーツ選手の指導や体力測定に関わっている。その経験から感じるのが、格闘技界の「フィジカルに対する意識の低さ」だという。 「怒られちゃうかもしれないですけど、キックボクサーは体力レベルも、フィジカルに対する意識も低いです」

 魔裟斗の戦いぶりを褒められると土居トレーナーは複雑な気持ちになるという。

「魔裟斗選手はスタミナがあって、決勝戦でも動けて凄いね、と評価されるのは嬉しいですけど『プロならそれぐらい当たり前だ』と思わないと強くなれない、というのが僕の中にあります。その点でキックボクサーは甘いかな。MAXの外国人選手は骨格から違いますから、これでフィジカルを鍛えてきたらどうやって日本人は勝つんですか? 考え方が変わって、フィジカルの必要性がもっと浸透しないと日本人のチャンピオンは生まれないと思いますよ」

 キック界に意識改革を起こすべく始めた合同練習。メニューはまだ基礎の段階だ。

「合同筋トレでやるのは格闘家になるための基礎を作るトレーニングで、魔裟斗さんがやってるトレーニングとは中身が全く違います。魔裟斗さんは一定レベルまで来ているので『これから何を目指すのか』という目的に合わせた、世界チャンピオンのためのメニューを組んでいますから」

 しかし、魔裟斗といえども最初からハイレベルなメニューをこなせたわけではなかったのである。

「3年掛かってようやくですよ」



勝者コール後、土居進トレーナーと抱き合う魔裟斗。ヌアトラニー、飯田裕トレーナー……“チーム魔裟斗”がカリスマを創り上げた。【(C)ゴング格闘技/舟橋賢】
■魔裟斗の試合を初めて見た時、背負うものの大きさに驚いた。
 土居トレーナーが魔裟斗とマンツーマンのトレーニングを始めたのは05年のMAX後だった。ザンビディス戦で足を骨折し、飯田裕トレーナーの弟子で疲労度の測定などのサポート役をしていた土居トレーナーがリハビリの担当に呼ばれたのだ。

 骨折の影響で生じた左右の足の筋力差を解消し、戦える状態に持って行った。そして迎えた06年のMAX決勝大会、土居トレーナーは強い衝撃を受ける。

「トーナメントの厳しさが想像以上だったことと、魔裟斗さんが背負うものの大きさに初めて気づいたんです」

 土居トレーナーはボクシングのプロライセンスを持ち、ボクシング会場には度々足を運んで東洋太平洋王者鳥海純のトレーニング指導を行なってきた。しかし、K-1は全く知らず、試合を生で見るのも初めてなら、ワンデイトーナメントの過酷さを目の当たりにするのも初めてだった。

 その時、慣れ親しんだボクシング会場とはまるで違う雰囲気に驚き、K-1において魔裟斗がどれだけ大きな存在であるかを実感したという。

「一人の選手の勝ち負けがこんなに大勢の人を動かすのか、と驚きました。ボクシングのチャンピオンも見てますし、魔裟斗さんがチャンピオンだと聞いても同じ感じに思ってたら、テレビも入ってますし、反響も大きくて『こんなに違うんだ!』と。小比類巻選手に勝った時の会場全体の喜び方と、サワーに負けた時のみんなの落胆ぶりを見て『これは覚悟を決めてやらないと、責任重大だな』って思ったんです」

 実際にトーナメントを見られたことは大きな収穫だった。

「魔裟斗さんの能力が上がってるのは確かだったんですけど、他の選手との比較が出来なかったんです。でも実際に見て『頑張れば勝てるな』と思いましたし、トーナメントは想像以上のキツさでしたけど『トーナメントで勝つには筋力よりスタミナ』という方針も立てられたので、すぐ次のメニューを考え始めたんです」

 ところが、肝心の魔裟斗は準決勝敗北のショックから「辞める」と言い出した……。

(文=茂田浩司、写真=村上一光)

※この後も、初めて土居トレーナーが明かす魔裟斗の挑戦の真実は、発売中の『ゴング格闘技』にて、ご覧ください! また、魔裟斗誕生から引退までを新たな証言によりまとめた『永久保存版・魔裟斗 1997-2009』(ゴング格闘技編集部 編)は、イースト・プレスより絶賛発売中です!



『永久保存版・魔裟斗 1997-2009』は現在、絶賛発売中! 引退試合に向け“ゴン格”がデビューから追い続けた魔裟斗ストーリーを掲載。新たな記事も追加し、魔裟斗のすべてを特集した!【(C)ゴング格闘技/和智正夫】
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“K-1MAXを創った男”魔裟斗の孤高の挑戦とは何か?
1994年の知られざるボクシング時代から、
1997年のデビュー、2009年の引退まで。

すべての試合を追い続けた専門誌ならではの秘蔵写真、
インタビュー・ノンフィクションを再録。さらに、
新たな記事も追加した引退記念・完全保存版ブック。

誰も知らない魔裟斗がここにいる──。


【CONTENTS】

[巻頭エッセイ]
魔裟斗が選んだ孤高の挑戦。

[ルーツ探訪]
魔裟斗が、育まれた場所。
1994−2005


■1997-2001“魔裟斗”の誕生。

2000 K-1 J・MAX
[ニッポン重量級&中量級エース対談]
魔裟斗×武蔵
頂点はすぐそこにある。

2000 タイ国王生誕記念大会
[ボクシング×キック 革命児対談]
魔裟斗×畑山隆則
汗臭いのはもういいよ。
僕らはオシャレで、カッコよくて、
面白い試合をしよう!

2001 vsモハメッド・オワリ
[UFC×K-1“メジャー”対談]
魔裟斗×宇野薫
Major Leaguer になろう!


■2002 ライバル・ストーリー

2002 K-1 WORLD MAX 始動!
[“生ける伝説”からのメッセージ]
魔裟斗×藤原敏男
日本に君の敵はいないよ。

2002 vsアルバート・クラウス
[試練を越えて]
初めての挫折、初めての涙
「今は、負けて良かったかも
しれないって思ってる」

[キックか、K-1か?]
魔裟斗×小林聡
犬猿の仲? それとも……。


■2003 悲願、なる──。

2003 vs武田幸三
[レジェンド対談]
魔裟斗×桜庭和志
千両役者のたたずまい。

2003 世界王座戴冠!
[K-1 WORLD MAX 世界王者の独白]
歓喜の裏、その真実――
「負けたら引退、していたと思いますよ」


■2004 死闘、再び。

2004 vsブアカーオ・ポー.プラムック
[王座陥落]
「これまで以上の練習をするか、
戦い方を変えるかのどちらかです」

2004 vs山本“KID”徳郁
[大晦日の名勝負]
「KID戦のローブロー後にケビンさんから
『親心なんか出すなよ』と言われて
気持ちを取り戻せました」


■2005-2006 試練を越えて。

2006 vsアンディ・サワー
[沈黙を破る]
「もう辞めようと思っていた」
──魔裟斗を動かした一通の手紙。


■2007 蘇る銀狼。

2007 入籍
[格闘家が帰る場所]
思い出す5年前の言葉──
「幸せな家庭が作れればいい」

2007 vsブアカーオ・ポー.プラムック
[進化する拳]
「面白い試合をしますよ。
格闘技界を盛り上げないと」


■2008 王座奪還。

2008 vsヴァージル・カラコダ
[ロングインタビュー]
「本物の戦いを見せていかないと
生き残れないんですよ」

2008 vs佐藤嘉洋、vsアルトゥール・キシェンコ
[死闘の果てに]
5年ぶり王座奪還の舞台裏
魔裟斗のチャイ・スー“強い心”

[そして人生は続く]
魔裟斗×井上雄彦(『スラムダンク』『バガボンド』『リアル』)
「実戦を生きるということ」


■2009 誰が為に鐘は鳴る。

2009 vs川尻達也
[ラストMAXドキュメント]
魔裟斗はどこで
川尻達也を見切ったのか?

2009 vsアンディ・サワー
[FINALインタビュー]
最強最後の
魔裟斗――

K-1MAXを創った男。
魔裟斗、名言集

魔裟斗、全63試合(+5エキシビション)の軌跡。

[巻末エッセイ]
From Editor
「いつも前のめりに──」


ほか、魔裟斗秘蔵写真・エピソードが満載!
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http://www.eastpress.co.jp/


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